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別れのランチ Part2 [壮年期]

寿退職することになった女子社員を昼食に誘って御馳走したことが何度かあった。


二回目に選んだ女の子は、議員の娘さん。容姿的には美貌の部類に入る。が、議員の娘さんと聞いて交際を申し込む、度胸ある男は会社には少なく、婚期を逃しそうな状況にあった。

性格的にはプライドの強さと一途さが同居していた。彼女は、父の選挙に際して、長期休暇を取り、ウグイス嬢をやっていた。そのせいか、日焼けしにくい厚化粧がうまかった。


趣味は、ゴルフ。タバコも吸う。身に付けていたものはブランド高級品だらけ。いわゆるオヤジギャルタイプ。


職場で、この女性と数年間、毎日顔を合わせた。当時、彼女は会社の先輩と交際していたという噂があり、当人たちも乗り気となった時期があったようだったが、彼女の方で今一つ気が進まなかったようだった。


やがて、私は転勤、別の職場にて、彼女が、お父さんの部下と婚約したことを知った。
それまで彼女と二人きりで一度も会食したことはなかったが、最後の晩餐のつもりで、レストランでの昼食に誘った。毎日顔を合わせた数年間あり、互いに気心が知れていると思っていたからだ。


彼女の話しぶりから、彼女なりに、結婚相手に満足しているように見えた。私は、心の中に何か引っかかることがあることに気づいていたが、そのことにはずっとふれず、彼女も敢えて多くは語らず、彼女の結婚を祝い、その昔の職場の楽しい想い出話をして別れた。


それから数年後、偶然、Wikipediaにて、彼女が由緒ある豪族の末裔であることを知った。
彼女のプライドの強さ、一途さの根源を初めて知った。


「血が騒ぐ」という言葉どおり、彼女の父が紹介し彼女を射止めた男は、彼女にとって「血が騒ぐ」相手だったはずである。今頃は、やり手官僚の奥方として、マイク片手にどこかの候補の街宣車に乗り込んでおられるはずである。

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受験勉強の想い出 英作文編 [学生時代]

今でも受験勉強を思考訓練の場だと思っている。


相当マニアックに勉強した科目があった。英作文はその中の一つ。英語は社会人となった後を含め、40歳くらいまで勉強した。添削の名門、Z会の東大合格者が絶賛する英作文の名著と言われていた参考書「和文英訳の修業」は手元に置いていた。この参考書は、作文センスを磨かない限り、得点力アップには繋がらないという発想に基づき書かれていた。最初は、この参考書をひたすら読み、パターン認識しつつ暗記することを心がけたが、例文をパターン化して捉え、古風な英語をベースとする文法的こだわりに、飽きてしまった。


英作文は、言語が本来的にそうであるように、暗記で済むものではないはずであり、作文センスを磨く必要性があると考えるに至った。(後年、日本語が世界の言語の中で、最も難解かつ特異的な言語であることを知った。)


そこで、小説の英訳書を探しに書店に行った。行った店は、3条8丁目にあった旭川富貴堂。1回の店舗の真ん中か通路脇だったと思う。5段くらいの、円筒型の各段回転式の書架に日本の有名小説の英文のペーパーバックが、置かれていた。値段は多分680円くらい。(一ドル360円換算)その中から、三島由紀夫の金閣寺と川端康成の雪国を購入、日本語の小説とにらめっこしつつ参考書として活用することにした。


勉強法は、日本語の箇所をまず一頁程度読み、イメージを掴みつつ、英文の頁を一頁分追う感じ。面白い英文表現があれば、その箇所を繰り返し読む。それなりの集中力を維持しないと続かない。


受験テクニックに沿う細かな英訳にこだわらず、作文としての流れを追うことで、苦手意識払拭を目指した。受験テクニック的には、有名参考書でパターン認識することが優等生的取り組みであることは理解していた。が、それでは、将来必要となる場面で語学センスが身につくことはない。


小説の英訳はどうだったかというと、簡単な中学レベルの英単語の組み合わせで、川端や三島の小説を表現した、ドナルド・キーンなど、日本文化を知る外国人の翻訳は見事だった。小説雪国においては、有名な情景描写の箇所についての、英文での的確な表現に私は魅了され、英語ではこう表現するのだと感心、繰り返し読んだ。今でもこれら二冊の英訳書を英作文の参考書だと思っている。


金閣寺.jpg

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繊維問屋の想い出 [ふるさと]

かつて、宮下通りと1条通りの9丁目の一角に繊維問屋街があった。
日本最北の繊維問屋として、稚内、名寄、北見、網走、紋別、留萌、富良野方面の小売店に卸していたのであろう。


母は、その繊維問屋の一つに学校時代の友人がいたようで、私をよく連れていった。店の奥には、円筒の石炭ストーブが置かれ、母とその友人は、ストーブを囲んで世間話をし、母はとても楽しそうに見えた。
子育ての話題もあったようで、その息子さんと私は同期生であると何度も聞かされた。その同期生は、その母親に似た賑やかな性格の人。今は地元で開業医になられていると聞いている。



その問屋街も時代の流れに逆らえず、次々と店を閉め、問屋街自体が消滅、今は数軒しか残っていない。


少し前に、ヤフーショッピングで、定番もののカーデイガンが安かったのを見つけ、購入した。納品者の住所を確認したところ、なんと当時からある繊維問屋だった。

昔は問屋、今は問屋とネットショップで生き残っている。たくましい商魂がないとできることではない。そんな時代になってしまったのである。

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問屋街の居酒屋の想い出 [ふるさと]

その居酒屋は、問屋街の一角にある。


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女将さんは、ハイカラ好みの人。骨董デザイン風の椅子を眺めればそう思うはずである。

長年、この場所で店を続けている。十数年前は、毎晩のように数人の客を見かけた。最近は、客足はまばら。女将さんは、夕暮れ時に店先の花壇に念入りに水をやることが増えた。


実は、この店に一度入ったことがある。


その日は、五条緑橋通りのホテルに宿泊。気晴らしで酒を飲もうと、この店を選んだ。客はもう一人いた。四十歳くらいの女性客。自転車を購入したことがとても嬉しそうだった。

当時の私は失意のどん底状態。この店で酒を飲んだことがきっかけとなり、思い通りにならないことにがっかりせず、将来を悲観せず、日々の生活を楽しく過ごすことを心がけるようになった。


あれから十数年が経った。店は営業を続けている。


女将さんは、店を開けることで、通りすがりの人を今も励ましていることに、気づいてはいまい。

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