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別れのランチ Part2 [壮年期]

寿退職することになった女子社員を昼食に誘って御馳走したことが何度かあった。


二回目に選んだ女の子は、議員の娘さん。容姿的には美貌の部類に入る。が、議員の娘さんと聞いて交際を申し込む、度胸ある男は会社には少なく、婚期を逃しそうな状況にあった。

性格的にはプライドの強さと一途さが同居していた。彼女は、父の選挙に際して、長期休暇を取り、ウグイス嬢をやっていた。そのせいか、日焼けしにくい厚化粧がうまかった。


趣味は、ゴルフ。タバコも吸う。身に付けていたものはブランド高級品だらけ。いわゆるオヤジギャルタイプ。


職場で、この女性と数年間、毎日顔を合わせた。当時、彼女は会社の先輩と交際していたという噂があり、当人たちも乗り気となった時期があったようだったが、彼女の方で今一つ気が進まなかったようだった。


やがて、私は転勤、別の職場にて、彼女が、お父さんの部下と婚約したことを知った。
それまで彼女と二人きりで一度も会食したことはなかったが、最後の晩餐のつもりで、レストランでの昼食に誘った。毎日顔を合わせた数年間あり、互いに気心が知れていると思っていたからだ。


彼女の話しぶりから、彼女なりに、結婚相手に満足しているように見えた。私は、心の中に何か引っかかることがあることに気づいていたが、そのことにはずっとふれず、彼女も敢えて多くは語らず、彼女の結婚を祝い、その昔の職場の楽しい想い出話をして別れた。


それから数年後、偶然、Wikipediaにて、彼女が由緒ある豪族の末裔であることを知った。
彼女のプライドの強さ、一途さの根源を初めて知った。


「血が騒ぐ」という言葉どおり、彼女の父が紹介し彼女を射止めた男は、彼女にとって「血が騒ぐ」相手だったはずである。今頃は、やり手官僚の奥方として、マイク片手にどこかの候補の街宣車に乗り込んでおられるはずである。

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